先日ノートPCのHDDをSSDに交換しましたが、Windowsの標準機能だけで実施してみたので、紹介させて頂きます。HDD→SSDだけでなく、HDD→HDDやSSD→SSDでも参考になるように記載しました。
交換は自己責任でお願いします!間違えて消してしまわないよう、大事なデータは複数の方法でバックアップしておいてください。
目次
1.はじめに
A.前提
ここで行うのは、移行前の環境(システム設定&データ)すべてを新しいディスクに移行して交換する方法です。
Windows10のクリーンインストールは行いません。搭載できるHDDが1台のみのPCを想定しています。検証した環境は「Windows 10 HOME 64bit バージョン1803」です。
B.用意するもの
用意するものは以下の通りです。
交換用ディスク | : | 例ではSSDを使用 |
USB接続外付けHDD | : | システムイメージの保存に使用 |
DVD-RもしくはUSBメモリ | : | 「E.システム イメージからシステムを回復」を実行する際にパソコンを起動するために使用 |
C.用語の定義
本記事では、用語を以下の通り定義します。
ディスク | : | HDDやSSDをディスクと呼びます。SSDは「ディスク」なのか?という疑問はありますが、Windows10上ではSSDもHDDも「ディスク」と記載されるので、合わせました。 |
光学メディア | : | CD/DVD/BDもディスクといえますが、上記のディスクと紛らわしいので、これらを「光学メディア」と呼びます。 |
光学ドライブ | : | CD/DVD/BDを挿入するドライブを「光学ドライブ」と呼びます。 |
2.手順
A.現行ディスクの縮小
HDDからSSDに交換する場合、交換後の方が容量が少なくなることも多いと思います。容量が[交換前 > 交換後]の場合、新ディスクへの移行ができないので、事前に縮小します。
ディスクの容量が[交換前 < 交換後]の場合は、本項「A.現行ディスクの縮小」の実施は不要です。
a.スタートボタンを右クリックし、メニューから「ディスクの管理」を選択して「ディスクの管理」を開きます。
b.縮小するボリュームを右クリックし「ボリュームの縮小」をクリックします。
上図「ディスク0」の一番右に900MBの回復ドライブがあります。こちらは通常利用している場合は無いと思いますが、筆者の環境ではなぜか存在しました。2つ目の回復ドライブは不要なので削除しました。
c.1~2分すると「<ボリューム名>の縮小」ウィンドウが開きます。
「縮小する領域のサイズ」に縮小するサイズ(MB)を入力して「縮小」をクリックします。
ディスクのラベルに記載されているサイズとOS上サイズは計算方法が違うため、ラベルに100GBと記載されていてもOS上では93GBになります。
GB表記の場合、おおよそですがラベルに記載されたサイズの-7%がOS上のサイズになると考えてください。
当然ながら縮小量分の空き容量を作っておく必要があります。ただし「縮小可能な領域のサイズ」が空き容量より大幅に少ない場合は、断片化が発生している可能性がありますので、デフラグしてください。
以降は筆者の環境の話ですが、参考までに記載させて頂きます。
上の画像だと、272GBの空き容量がありますが、「縮小可能な領域のサイズ」は37GBしかありません。デフラグしたところ下記のようになりました。
縮小可能なサイズが増えましたが、まだまだ足りません。縮小後にディスク内の全ボリュームの合計サイズが、交換するディスクのサイズより小さくなるようにします。
不要データの削除、ディスククリーンアップなどで容量そのものを減らすと共に、デフラグで移動できないファイルを何とかしなければ「縮小可能な領域のサイズ」は増えません。こちらサイトの対策を実施しました。
なんとか上図まで縮小可能になりました。交換後のディスクは500GBのSSDなので、465GB以下にしなければいけません。ギリギリまで縮小するのも動作に不具合が出る可能性があるので、300,000MB縮小しました。
縮小にかかる時間は、ディスクの状態によりまちまちです。フォーマットしたてのHDDだと数秒ですが、数年使いこんだこのHDDでは2時間弱かかりました。
B.システムイメージの作成
Windows7からある「システム イメージの作成」機能を使って、システム全体を外付けHDDにバックアップします。
a.パソコンにUSB外付けHDDを接続します。
b.スタートボタン→「設定(歯車アイコン)」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」の順に開きます。
c.「[バックアップと復元]に移動 (Windows 7)」をクリックします。
d.「システム イメージの作成」をクリックします。「ユーザー アカウント制御」のウィンドウが表示された場合は「はい」をクリックするか、管理者アカウントの認証を行います。
e.「システム イメージの作成」ウィザードが開始されますので「ハード ディスク上」を選択してプルダウンメニューから外付けHDDを選び「次へ」をクリックします。
f.システムボリューム以外のボリュームがある場合は下図のウィンドウが表示されます。必要に応じチェックを入れ「次へ」をクリックします。
g.「バックアップの開始」をクリックします。
h.バックアップ(システムイメージの作成)が完了するまで待機します。容量によりますが数時間かかることを見込んでください。
i.システム修復ディスクを作成するか聞かれますが、別途作成しますので「いいえ」を選択します。
j.「閉じる」をクリックして、「システム イメージの作成」を終了します。
C.「システム修復ディスク」または「回復ドライブ」の作成
OSが無い状態でPCを起動するための「システム修復ディスク」または「回復ドライブ」を作成します。どちらを作るか迷うかもしれませんが、今回の目的ではどちらでもかまいません。後述する「E.システム イメージからシステムを回復」において、PCをDVDなどの光学メディアから起動する場合は「システム修復ディスク」、USBメモリから起動する場合は「回復ドライブ」を作成します。別PC用に作成したシステム修復ディスクまたは回復ドライブを流用することもできます。
回復ドライブは「今回の目的において」は他PC流用可能です。「ドライブから回復する」機能を使用する場合は、各PC専用の回復ドライブを作成する必要があります。詳細はこのサイトが分かりやすかったです。
C-i.システム修復ディスクの作成
a.光学ドライブに光学メディア(DVD-R等)を挿入します。
b.「バックアップと復元(Windows 7)」の「システム修復ディスクの作成」をクリックします。
c.「ドライブ」で光学ドライブが選択されていることを確認し「ディスクの作成」をクリックします。
d.ディスクの作成が完了するまで待機します。
e.内容を確認して「閉じる」をクリックします。
f.「OK]をクリックしてウィンドウを閉じます。
C-ii.回復ドライブの作成
回復ドライブの作成方法です。こちらの方が詳しくて分かりやすいですが、念のため書いておきます。
a.回復ドライブにするUSBメモリをパソコンに挿入します。
b.スタートボタンから「Windows システム ツール」→「コントロール パネル」を開きます。
c.コントロール パネル ホームから「システムとセキュリティ」→「セキュリティとメンテナンス」→「回復」→「回復ドライブの作成」を開きます。
d.「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックを外し「次へ」をクリックします。
「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」にチェックを入れても問題はありませんが作成に数十分かかってしまいます。今回の目的では使わないのでチェックを外しました。
e.回復ドライブにするUSBメモリを選択し「次へ」をクリックします。
f.内容を確認し「作成」をクリックします。
g.作成が完了するまで待機してください。
h.「完了」をクリックします。
D.ディスクの交換
物理的にディスクを交換します。これは「環境による」としか言えないので、パソコンの説明書等を見て交換してください。
E.システム イメージからシステムを回復
システム回復ディスクまたは回復ドライブでパソコンを起動し、外付けHDDに保存していたシステムイメージを使用してシステムを回復することで、新ディスクにシステムを移行します。
※ここからのスクリーンショットはVirtualBoxで取得しています。
a.システム回復ディスク(光学メディア)または回復ドライブ(USBメモリ)を挿入します。さらに外付けHDDも接続します。
b.パソコンを起動します。上手く起動しない場合はBIOS設定で光学ドライブまたはUSBメモリの起動順位を上げてください。
c.システム修復ディスクで起動している場合は「Press any key to boot from CD or DVD」と表示されるので「Enter」キーを押します。表示されている時間は5秒程度なので逃さないように!逃してしまった場合はCtrl + Alt + Deleteで再起動しましょう。
d.起動中です。待機してください。
e.キーボードレイアウトを選択します。日本語が表示されるまで「その他のキーボード レイアウトを表示」をクリックします。
この後の操作ではキーボードを使用しないので「Microsoft IME」を選んでも差し支えありません。
f.「日本語」をクリックします。
g.「トラブルシューティング」をクリックします。
h.回復ドライブで起動した場合は以下の画面が表示されますので「詳細オプション」をクリックします。
回復ドライブで起動しても上記画面が表示されない場合もあります。
i.「イメージでシステムを回復」をクリックします。
j.自動的に外付けHDDがスキャンされ、システムイメージが見つかれば「利用可能なシステム イメージのうち最新のものを使用する」に表示されますので、「次へ」をクリックします。
k.「ディスクをフォーマットしてパーティションに再分割する」にチェックを入れ「ディスクの除外」をクリックします。
l.システムイメージを保存している外付けHDDをフォーマットされては困るので、外付けHDDにチェックを入れて「OK」をクリックします。
m.元の画面に戻るので「次へ」をクリックします。
n.内容を確認し「完了」をクリックします。
o.「はい」をクリックします。
p.システムイメージからの復元が始まります。終了まで数十分~数時間待機します。
q.復元が完了すると、自動的に再起動します。うまくいけば交換前と全く同じログオン画面が表示されます。
F.新ディスクの拡張
「A.現行ディスクの縮小」で新ディスクより小さめに縮小していたので、移行後は未割り当て領域が残っています。もったいないので最大容量まで拡張します。
a.ログオン後、スタートボタンを右クリックし、メニューから「ディスクの管理」を選択して「ディスクの管理」を開きます。
b.ボリューム(C:)を右クリックし、メニューから「ボリュームの拡張」をクリックします。
c.「次へ」をクリックします。
d.拡張できる最大容量が表示されている事=「最大ディスク領域(MB)」と「ディスク領域(MB)を選択」の値が一致していること、を確認し「次へ」をクリックします。
e.「完了」をクリックします。
f.ボリュームCが拡張され、未割り当て領域が無くなったことを確認します。
3.まとめ
上手くいきましたでしょうか?サードパーティー製のツールや、ディスクのメーカーが配布しているツールを使うのも良いですが、Windows10標準機能でも十分対応できるので、覚えておいて損はないかと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。よろしければ広告もご覧ください!
丁寧に解説いただきありがとうございます。
おかげさまで無事に換装できました。
前提として、このやり方だと、3台のHDD(もしくはSDD)が
必要なのですね。
1台目:移行元(今使っているPC本体のHDD)
2台目:システムイメージ保存用(外付けHDD)
3台目:移行先(SDD)
以前、有償ソフト(Acronis migrate easy)でやった経験から、
移行元・移行先の2台でいけるはずとの思い込みから、
失敗を繰り返しましたが、ようやく理解できました。
(「必要なもの 外付けHDD:システムイメージ保存用」と
記載あるのに見落としていました。。。)
いずれにせよ便利な機能ですね。ありがとうございました。
はい。移行元のHDDも含めるならその通りです。
有償ソフトであれば移行元のHDDから、外付けしたHDD/SSDにイメージを書き込むことができるものもありますが、このやり方はあくまでバックアップとして外付けHDDに保管し、PCのストレージ(HDD/SSD)を交換してからリストアする方法なので、3台が必要です。
いろいろ探していたサイトの中で一番丁寧でわかりやすかったです。疑問に思っていた肝心なところを記載頂いていました。有り難うございました。私も2台のディスクで換装していたため、上手く行きませんでした。ちなみに既存のHDDを取り出し、SSDに交換した状態で、取り出したHDDをUSBで繋ぎ、イメージでシステムを回復する方法では出来ないのでしょうか?
最近忙しくて気付けていませんでした。
>SSDに交換した状態で、取り出したHDDをUSBで繋ぎ、イメージでシステムを回復する方法では出来ないのでしょうか?
SSDのメーカーによってはあらかじめUSB接続でSSDにディスクイメージを転送してから換装することで旧環境をそのまま引き継げるアプリを添付しているようです。SAMSONでそのようなアプリが添付していた記憶があります。
その他の方法としては、USBでSSDを接続した状態で、別途接続したUSBメモリからブートできるLinux(KNOPPIXなど)を起動し、Linuxのツールを使って外付けしたHDDから内臓SSDにイメージを転送する方法があります。
ある程度知識がないとHDDの中身を消してしまう可能性があるので注意が必要です。